2019年に話題となった「老後2000万円問題」。
しばらく時が経ちましたので、さらりとおさらいしましょう。
2019年6月に金融庁の金融審議会市場ワーキング・グループの報告書「高齢社会における資産形成・管理」が公表され、それを基にした報道により、老後は2,000万円必要だと騒動になりました。国会でも問題となり、当時の麻生金融担当相は「表現が不適切だ」と報告書の受取を拒否するなど波紋を広げました。
野村アセットマネジメント
この記事を読んでいる方は、すでに金融資産2000万円を貯めた方だと思います。
おめでとうございます!!
これからの第2の人生をどのように歩んでいこうかとワクワクしちゃいますね。
しかし、パァーーっとお金を使ってしまうと一気に貧しい生活になります。
ですので、退職や将来の資金ニーズに備えることが重要です。
以下に考慮すべきポイントをいくつか挙げます。
前提条件
お金の事情は、各家庭によって異なります。ここで紹介するのは、あくまで1例となります。
不安な方は、自分で自身の家計を見直してみましょう!
なお、お金の専門家”ファイナンシャルプランナー”によっては保険を売り込み、あなたの将来を握りつぶす方も残念ながらいます。気をつけてください。
- 会社員で厚生年金に38年加入している
- 会社員時代の平均年収が約500万円
- 生活防衛資金として現金1000万円を所有
この方の年金は、一月当たり約15万円を受給できる見込みです。
なお、自身の年金受給額を確認するには、「ねんきん定期便」をみてください。
5つの考慮すべきポイント
1.目標とリスク許容度の評価
退職後の生活費や将来の資金ニーズを考慮し、具体的な目標を設定しましょう。また、自身のリスク許容度を評価し、適切な投資戦略を選択します。
目標とリスク許容度の評価を行う際には、以下の手順を参考にすることができます。
- 目標の設定
- まず、具体的な目標を設定します。例えば、退職後に必要な毎月の生活費や将来の買い物や旅行のための資金などを考慮します。目標を明確にすることで、適切な投資戦略を構築するための基準を設けることができます。
- 収入源と支出の評価
- 自身の収入源や支出を評価します。退職後の年金や社会保障給付、その他の収入源を把握し、将来の生活費や資金ニーズを予測します。現在の支出と将来の支出の差異を把握することで、投資目標に必要なリターンを見積もることができます。
- リスク許容度の評価:自身のリスク許容度を評価するために、以下の要素を考慮します。
- 忍耐力
- 長期的な投資戦略を実行するために必要な忍耐力を評価します。市場の変動やリスクに対して感情的になる傾向があるのか、どれくらいのリスクに耐えることができるのかを考えます。
- 資本の保護
- 資本の損失をどの程度まで受け入れることができるのかを評価します。リスクを取ることによって潜在的なリターンが増える一方で、資本の減少に耐えることができるのかを考慮します。
- 投資の経験と知識
- 投資に関する経験や知識を考慮します。自身がどれだけの投資知識や経験を持っているのか、リスクを適切に評価し判断できるのかを考えます。
- 忍耐力
- プロフェッショナルの助言を受ける
- 目標とリスク許容度の評価に迷った場合や具体的なアドバイスを得たい場合は、ファイナンシャルプランナーや資産管理の専門家に相談することがおすすめです。専門家は投資経験や専門知識を持っており、個別の状況に合わせたアドバイスを提供することができます。
目標とリスク許容度の評価は、個人の状況や性格によって異なるため、自身の状況と将来のニーズに合わせて柔軟に設定することが重要です。
2.ポートフォリオのリバランス
資産を長期的に保有するためには、ポートフォリオのリバランスを検討しましょう。リスクとリターンのバランスを保ちながら、将来の資金ニーズに応じてアセット配分を調整することが重要です。
ポートフォリオのリバランスは、アセット配分が目標と比較して変動した場合に、元の目標の割合に戻すための手段です。以下に、ポートフォリオのリバランスを行う一般的な手順を示します。
- 目標のアセット配分を確認
- 最初に、ポートフォリオの元の目標となるアセット配分を確認します。例えば、株式と債券の比率が50:50であるとした場合、この割合を元の目標とします。
- 定期的な評価
- ポートフォリオの評価を定期的に行います。一般的な頻度は、年に1回や半年に1回などですが、個々の投資目標や市場の変動に応じて柔軟に調整することができます。
- アセット配分の偏りを確認
- ポートフォリオのアセット配分を確認し、目標の割合からの偏りを評価します。例えば、株式の比率が55%に増え、債券の比率が45%に減少している場合、株式の割合が目標よりも高くなっていることがわかります。
- リバランスの必要性を判断
- アセット配分の偏りが一定の範囲を超えている場合、リバランスが必要となります。一般的には、目標から2〜5%以上の偏りが生じた場合にリバランスを検討します。
- リバランスの方法を選択:リバランスを行うためには、いくつかの方法があります。
- 新規投資による調整
- アセット配分の偏りを修正するために、ポートフォリオに新たに投資を行います。例えば、目標の割合よりも低い比率の資産クラスに追加投資を行うことでバランスを調整します。
- 取引による調整
- リバランスのために一部の資産を売却し、割合が高くなっている資産クラスへ資金を移動させる取引を行います。
- 配当再投資
- 配当を受け取った際には、目標の割合に合わせて再投資を行います。
- 新規投資による調整
- リバランスの頻度と柔軟性
- リバランスの頻度は個別の投資目標や市場の変動に応じて柔軟に設定することが重要です。一定の偏りが生じた場合にのみリバランスを行うこともあります。
- プロフェッショナルの助言を受ける
- ポートフォリオのリバランスに迷った場合や具体的なアドバイスを得たい場合は、ファイナンシャルプランナーや投資アドバイザーに相談することがおすすめです。専門家は個別の状況に合わせたリバランス戦略を提案することができます。
ポートフォリオのリバランスは、投資目標や市場状況に応じて適宜行うことが重要です。定期的な評価と調整を行うことで、投資目標に合致したリスクとリターンのバランスを保つことができます。
3.安定した収入源の確保
退職後の安定した収入源を確保するために、配当を重視する高配当株や配当ETFなどの投資を検討することができます。これにより、定期的な配当収入を得ることができます。
高配当株や配当ETFを検討する際には、以下のポイントを考慮することが重要です。
- 配当利回り
- 高配当株や配当ETFの魅力は、その配当利回りにあります。配当利回りは企業やETFの配当支払い額を株価で割ったものであり、一般的には高いほど魅力的です。配当利回りを比較し、銘柄やETFの選択に役立てることができます。
- 安定性と信頼性
- 高配当を維持し続けるためには、企業やETFの安定性と信頼性が重要です。企業の財務状況や配当履歴、成長性などを評価し、将来の配当維持や成長の可能性を判断することが重要です。また、配当を提供する企業やETFの信頼性も考慮しましょう。
- 分散投資
- 単一の銘柄やETFに偏らず、分散投資を考慮しましょう。複数の高配当株や配当ETFを組み合わせることで、リスクの分散やポートフォリオの安定性を確保することができます。
- 適切なセクターの選択
- 高配当株や配当ETFを選ぶ際には、セクターのバランスも考慮しましょう。特定のセクターに偏らず、異なるセクターの配当を組み合わせることで、ポートフォリオのバランスを取ることができます。
- プロフェッショナルの助言を受ける
- 高配当株や配当ETFの選択に迷った場合は、ファイナンシャルプランナーや投資アドバイザーに相談することがおすすめです。専門家は個別の投資目標やリスク許容度に合わせた適切な銘柄やETFを提案することができます。
最終的な選択は個人の投資目標やリスク許容度に合わせて行う必要があります。投資にはリスクが伴うため、慎重な評価と情報収集を行い、適切な投資判断を下すことが重要です。
4.リターンとリスクのバランス
高齢になると、リターンよりもリスク管理が重要になることがあります。リスクの少ない資産クラスや安定性のある企業に投資することで、資本を守りつつ適切なリターンを追求することができます。
リスクの少ない資産クラスや安定性のある企業への投資を検討する際には、以下のポイントを考慮することが重要です。
- 国債や政府債
- 国債や政府債は、国家が発行する債券であり、一般的にはリスクの少ない資産クラスとされています。特に信用力の高い国の債券は、安定性が高く信頼性があります。国債や政府債に投資することで、比較的安定した利回りと資本保全の可能性があります。
- 株式市場での安定性のある企業
- 株式市場においても、一部の企業は安定性があり、リスクの少ないイメージを持っています。これには、大規模で成熟した企業、安定したキャッシュフローを持つ企業、需要の安定した産業などが含まれます。例えば、公益事業や食品・飲料、医療・健康関連などのセクターは、一般的に安定性が高いとされています。
- 高配当株
- 高配当株も、一部の企業においてはリスクの少ない資産クラスとして考えられます。配当を継続的に支払っている安定的な企業は、通常、一定の安定性と信頼性を持っています。ただし、高配当株にも業績の変動や業界のリスクなどが存在するため、個別の企業の分析と適切な選択が重要です。
- 定期預金や金融商品
- リスクの少ない資産クラスとして、定期預金や金融商品(例: CDや国債を含むマネーマーケットファンド)も考慮できます。これらは主に元本保証が提供され、比較的安定した利回りが期待できます。
- ダイバーシフィケーション
- リスクの少ない資産クラスや安定性のある企業への投資を検討する場合でも、ポートフォリオのダイバーシフィケーションを忘れないようにしましょう。異なる資産クラスやセクターへの分散投資を行うことで、リスクを分散し、ポートフォリオの安定性を高めることができます。
最終的な投資判断は個人の投資目標やリスク許容度に合わせて行う必要があります。投資にはリスクが伴いますので、慎重な評価と情報収集を行い、適切な投資戦略を構築することが重要です。専門家の助言やファイナンシャルプランナーの相談もおすすめです。
5.プロフェッショナルの助言を受ける
高齢での資産管理や退職に関しては、ファイナンシャルプランナーや資産管理の専門家の助言を受けることが重要です。個別の状況に合わせたアドバイスを受けることで、より適切な戦略を立てることができます。
ファイナンシャルプランナーや資産管理の専門家を選ぶ際には、以下のポイントを考慮することが重要です。
- 資格とライセンス
- 信頼性のある専門家は、適切な資格とライセンスを持っていることが求められます。例えば、ファイナンシャルプランナーは国際的な資格であるCFP(Certified Financial Planner)の認定を受けているかどうかを確認しましょう。また、適切な金融ライセンスを持っているかも確認しましょう。
- 専門知識と経験
- 専門家の専門知識と経験は、信頼性の重要な要素です。資産管理やファイナンシャルプランニングの分野での経験や実績を持つ専門家を選びましょう。また、特定の投資戦略や資産クラスに精通しているかどうかも確認しましょう。
- 信頼と評判
- 口コミや評判を調べることで、専門家の信頼性や顧客満足度を把握することができます。友人や家族からの紹介や、オンラインのレビューや評価を参考にすることも有効です。
- 独立性と利益相反の回避
- 専門家が独立しているかどうか、または特定の金融機関や会社に所属しているかどうかを確認しましょう。独立した専門家は、クライアントの最善の利益を追求することが期待できます。
- コミュニケーションと相性
- 専門家とのコミュニケーションや相性も重要です。信頼できる専門家とは、クライアントの目標やニーズを理解し、適切なアドバイスや計画を提供することができる関係性を築くことができます。
- 個別の相談
- 専門家を選ぶ前に、複数の専門家と個別の相談を行うこともおすすめです。相談を通じて、専門家のアプローチや提案、料金体系などを比較し、自身に合った専門家を選ぶことができます。
これらのポイントを考慮しながら、信頼できる専門家を選ぶことが重要です。また、個人の投資目標やニーズに合わせたアドバイスを提供してくれる専門家を選ぶことも大切です。
まとめ
以上、5つの考慮すべきポイントでした。
すべてをやらなければならないという訳ではありません。
最も重要なのは、自身の目標やニーズに合わせた戦略を立て、将来の安定した資金ニーズを満たすために資産を適切に管理することです。
今まで汗、鼻水、自身の命までを費やした大切な老後資金です。
満足いく第二の人生を遅れれば、私自身も幸せです。
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